以前であれば、風邪など軽症の場合はそのまま仕事をしていた人もいるでしょうし、数日休んだとしても復帰の際は「解熱したら」「回復したら」と本人に任せていた職場が多かったと思います。しかし、withコロナの今、そしてこれからは、風邪を初めとする感染症と職場復帰について慎重に考えていく必要があります。職場で感染を拡げないために、休む目安や職場復帰の目安をしっかり整えていきましょう。
まず、平熱以上の発熱や体調不良を感じる場合は、出社をせずに自宅待機としましょう。そして職場復帰の際は、以下を目安にしてください。

6月12日に新型コロナウィルス感染症患者さんの退院基準が緩和されました。それに従い、職場復帰の目安も変更がありますのでご確認ください。

<診断されていない>発熱や風邪症状のある者

ただの風邪と新型コロナウィルス感染症と区別することは、医療機関おいても判断が非常に困難です。そのため、発熱や風邪の症状があるけれど、新型コロナウィルスと診断されなかった(医療機関を受診していない、検査に至っていない、PCR検査で陰性など)人は、次の基準を目安に職場復帰を考えてください。

<発熱や風邪症状など体調不良者の職場復帰目安>
次の (1)および (2)の両方の条件を満たすこと
(1)発症後に少なくても 8 日が経過している
(2)薬剤*を服用していない状態で、解熱後および症状**消失後に少なくても3日が経過している
*解熱剤を含む症状を緩和させる薬剤
**咳・咽頭痛・息切れ・全身倦怠感・下痢など

《参考》
・ヨーロッパCDCの隔離解除基準Mild suspected or confirmed COVID-19 cases https://www.ecdc.europa.eu/sites/default/files/documents/covid-19-guidance-discharge-and-ending-isolation-first%20update.pdf
・職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本渡航医学会/日本産業衛生学会)2020/6/4改訂
https://www.sanei.or.jp/images/contents/416/COVID-19guide0604koukai.pdf


<新型コロナウィルス感染者>入院を要した者

有症状者に関する退院基準について、WHOの基準が短縮(14日→10日)され、有症状者の退院基準について期間が短縮(14日→10日)されました。
また、無症状病原体保有者の退院基準についても、無症状病原体保有者に関する新たな知見が明らかになったことを踏まえ、CDCの基準も参考にし、時間の経過に基づく基準に加え、新たに、PCR検査による退院基準が設定されました。

<退院基準の改定>
1.有症状者の場合
①発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合、退院可能(期間を短縮)
②症状軽快後24時間経過後、24時間以上間隔をあけ、2回のPCR検査で陰性を確認できれば退院可能
2.無症状病原体保有者の場合
①検体採取日から10日間経過した場合、退院可能(期間を短縮)
検体採取日から6日間経過後、24時間以上間隔をあけ、2回のPCR検査で陰性を確認できれば退院可能(新規に条件設定)

<入院者の職場復帰目安>
(1)退院基準を満たし、主治医の指示により退院していること
(2)職場復帰に際して、 1 週間程度の在宅勤務(あるいは自宅待機)を行ってから出社することが望ましい。
(3)在宅勤務での取り扱いが困難な場合は、復帰後は、毎日の健康観察、マスクの着用、他人との距離を 2m程度に保つなどの感染予防対策を行い、体調不要を認める際には出社はしない。
(4)会社が復帰する社員に、医療機関の「陰性証明書や治癒証明書」の提出を求めないこと

※退院後に PCR 検査の陽性が持続する場合がありますが、 PCR 検査陽性であることが「感染性がある」ことを意味するわけではありません。
※感染性は、発症2-3日前から発生し発症直後に最大になり、7日程度で急激に感染性が低下すると言われています。

《参考》
・Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19
https://www.nature.com/articles/s41591-020-0869-5.pdf
・Coronavirus disease 2019 (COVID-19) in the EU/EEA and the UK– ninth update
https://www.ecdc.europa.eu/sites/default/files/documents/covid-19-rapid-risk-assessment-coronavirus-disease-2019-ninth-update-23-april-2020.pdf
・厚生労働省 退院基準改定
https://www.mhlw.go.jp/content/000639691.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000639692.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000639696.pdf 
・職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本渡航医学会/日本産業衛生学会)2020/6/4改訂 https://www.sanei.or.jp/images/contents/416/COVID-19guide0604koukai.pdf


<新型コロナウィルス感染者> 宿泊療養or自宅療養の者

退院基準の改定に伴い、宿泊療養/自宅療養解除の目安も変更されました。
なお、宿泊療養/自宅療養が解除されれば、同時に職場への復帰が可能です。

<宿泊療養or自宅療養から職場復帰目安>
(1)宿泊療養又は自宅療養解除の基準
退院基準と同様に次のいずれかを満たすこと
1.有症状者
①発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快*後72時間経過した場合(PCR陰性は不要)
②症状軽快後24時間経過後、24時間以上間隔をあけ、2回のPCR検査で陰性を確認
*解熱剤を使用せずに解熱しており、呼吸器症状が改善傾向であること

2.無症状病原体保有者
① 検体採取日から10日間経過した場合
② 検体採取日から6日間経過後、24時間以上間隔をあけ2回のPCR検査陰性を確認

(2)就業制限解除の基準
上記の「宿泊療養又は自宅療養の解除基準」を満たした時点で、同時に就業制限解除の基準を満たす。

(3)就業制限解除の証明
就業制限の解除は、医療保健関係者による健康状態の確認を経て行われるものであるため、解除された後に職場等で勤務を開始するに当たり、職場等に証明を提出する必要はない。

※検査結果の証明について
Q. 労働者を就業させる上で、労働者が新型コロナウイルス感染症に感染して
いるかどうか確認することはできますか。
A. 現在、PCR 検査は、医師が診療のために必要と判断した場合、又は、公衆衛生上の観点から自治体が必要と判断した場合に実施しています。そのため、医師や自治体に PCR 検査が必要と判断されていない労働者について、事業者等からの依頼により、各種証明がされることはありません。また、新型コロナウイルス感染症患者については、医療保健関係者による健康状態の確認を経て、入院・宿泊療養・自宅療養を終えるものであるため、療養終了後に勤務等を再開するに当たって、職場等に、陰性証明を提出する必要はありません。PCR 検査を実施した医療機関や保健所において、各種証明がされるかどうかは、医療機関や保健所によって取扱いが異なりますが、国内での感染者数が増える中で、医療機関や保健所への各種証明の請求についてはお控えいただくよう、お願いします。
なお、PCR 検査では、検体採取の際の手技が適切でない場合や、検体を採取する時期により、対象者のウイルス量が検出限界以下となり、最初の検査で陰性になった者が、その後陽性になる可能性もあり得ます。

《参考》
・感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナ
ウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)(令和2年6月12日)
https://www.mhlw.go.jp/content/000639691.pdf
・新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象
並びに自治体における対応に向けた準備について(一部改正)(令和2年6月12日付け事務連絡)
https://www.mhlw.go.jp/content/000639692.pdf
・職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本渡航医学会/日本産業衛生学会)2020/6/4改訂 https://www.sanei.or.jp/images/contents/416/COVID-19guide0604koukai.pd



職場復帰後の注意点

発熱者(診断されなかった人)、感染者いずれの場合も、職場復帰後4週間は、以下のことを徹底してください。

<職場復帰後4週間は感染対策の徹底>
(1)衛生対策の徹底
・石けんやアルコール消毒液を用いて手洗いをしてください。
・咳エチケット(マスクやティッシュ、ハンカチ、袖、肘の内側などを使って口や鼻をおさえる、マスクの着用等)を守ってください。
(2)毎日の健康観察
・毎日、体温測定を行い、発熱の有無を確認してください。
(3)咳や発熱などの症状が出た場合
・速やかに帰国者・接触者相談センターに連絡し、その指示に従う。外出時には必ずマスクを着用し、必要に応じて医療機関を受診してください。帰国者・接触者相談センターへの連絡及び医療機関の受診にあたっては、あらかじめ新型コロナウイルス感染症に罹患していたことを必ず伝えてください。

《参考》
・医療機関における「新型コロナウイルスの陰性が確認され退院される患者の方々へ」の配布についてhttps://www.mhlw.go.jp/content/000609163.pdf