フェミナスができるまで

フェミナスができるまで

代表の、医師としての疑問・願いから、
フェミナス産業医事務所は生まれました。

診察室からは見えないこと

私の精神科医としての歩みは、研修医が終わり、都心の総合病院での精神科勤務から始まりました。
うつ病、適応障害などで受診する患者さんの中には、働き盛りと言われる20代から40代の患者さんが多いことに驚きを感じました。
そして、そのような受診者は、ますます増えていく傾向にありました。
当時は診断と治療を学ぶことに必死でしたが、治療が進み、診察では症状が回復しているように見えるにもかかわらず、いざ職場復帰の段階になるとうまくいかない。
そんな事例を数多く経験しました。
復職支援のしくみが大分整備され、診察室での判断と産業医の判断との差は以前よりは小さくなってきていましたが、それでも尚、復職支援の難しさを感じました。
患者さんはどのようにして職場で精神的な不調を抱えるようになるのか。
そして、治療後に何を乗り越えて職場に戻っていくのか。
診察室にいるだけでは見えないことを痛感しました。
現代の職場の状況・視点を知らなくては、適確な診療はできないのではないか?
そういった疑問から、産業医として活動を始めました。

産業医としての悩み

産業医の活動を始めてみると、新しいことばかりで、試行錯誤の連続でした。
まずは、産業医の仕事探し。
偶然に先輩から紹介してもらった企業数社と仕事を始めましたが、契約企業は思う様に見つからず、他は企業に産業医を紹介する人材紹介・派遣会社を利用しました。
しかし、こういった形の活動では産業医とは言っても、企業側との繋がりが希薄になりがちで、アルバイトの域を抜け出せません。
これでは、本当の意味で企業の役に立つことは難しいと反省し、産業医としての意識・立場を確立しなくてはならないと感じました。

契約企業の抱える悩み

実際に各企業で産業医として業務を開始してみると、これまでとは異なることが多く見えてきました。
病院での診療とは異なり、産業医は個人活動が中心です。
したがって、先輩や同僚医師達に気軽に相談したり、自分達の対応を振り返って検討をする機会、事例や経験を共有する機会がほとんどありません。
当然、一人の産業医が経験する事例には限りがあります。
しかし、企業が直面し、産業医に依頼される問題は、その医師の専門に関わる問題だけではありません。
心身の病気を抱えた社員の対応、健康診断の対応、健康相談、労働に関する法令の遵守、パワハラ、セクハラ、労災など様々な課題や問題があり、産業医には幅広い知識と対応が求められます。
当時の私は、自分の専門領域以外の知識や経験が弱く、対応にも限界を感じました。
実際に、医師自身の産業医としての成長、結果として企業へ提供できるサービスの質、これらを担保する仕組みはありません。
あまりにも産業医個人に委ねられているという現実がありました。
これでは少なくとも対価に見合った、あるいは、契約企業に付加価値を提供できるようなサービスを提供できる産業医は限られてしまいます。
産業医、特に、良い産業医に巡り会うことは企業側にとっても切実な問題であることがわかりました。

女性医師としての悩み

課題を感じた一方、産業医という職種では「女性医師」であることが役立つ経験もしました。
企業側から「女性産業医」という要望が増えてきたのです。
女性の社会進出が進み女性が活躍する企業が増えたこと。
産業医との窓口になる人事労務担当者には女性が多いこと。
女性ならではのソフトで、細やかな対応、相談しやすさなどが理由のようでした。
しかし、逆に医師の業界に目を向けてみると、医師歴10年前後でこれからの活躍が期待されるはずの女性医師達が、結婚、出産、育児によって仕事を思う様にできていない現状があります。
医療の現場は改善傾向にはあるものの、いまだ女性に優しいとは言えず、働きたい気持ちはあっても女性医師が活躍する場が限られてしまう側面があります。
そういった状況を何とかできないかという思いもありました。
そこで、女性医師が産業医として企業で活躍することが、社会にとっても女性医師にとっても良い形になりえるのではないかと考えました。

フェミナスを通じて私たちが社会にできること

産業医の悩み、そして企業の悩みを同時に解決できるソリューションを求めて、フェミナス産業医事務所を設立しました。
プロとしての産業医の立場を確立するためには、一定の独立性を確保することが必要です。
同時に、私たち産業医自身が、経験を共有しあう、互いの専門性を生かし合う機会・場を創出したいという思いがあります。
そこで共有されたノウハウを企業へと還元して行くことで企業に価値あるサービスを提供できるでしょう。
また、女性医師の良さを生かしながら、出産や育児で助けが必要な時にはお互いに助け合いながら働ける組織で女性医師の活躍の場を広げたいと願いました。
私たちは企業と産業医が行き交い共に成長してゆけるプラットフォームとなることを目指しています。

フェミナス産業医事務所はこんな産業医事務所

  • 産業医を必要とする企業を強力にサポートする、企業にとって本当に頼れる産業医事務所。
  • 所属する産業医同士が学びを共有し、互いの専門性を生かしつつ、得られたノウハウを企業に還元できる産業医事務所。
  • 女性医師の良さを生かし、共に助け合いながら活躍できる女性産業医による事務所。

設立に当たっては本当に多くの方々からご意見やご支援をいただき、今日があります。
この場を借りて改めてお礼申し上げます。
今後も努力を惜しまず、前進して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。