「濃厚接触者」とは

 以前は、発症日以降に接触した者を対象していましたが、4月20日付けで、国立感染症研究所は、健康観察の対象となる「濃厚接触者の定義」を見直しました。主な変更点は2点です。
・「発症の2日前から接触した者」へ期間を拡大。新型コロナウィルス感染症は発症2日前から感染性をもつという医学的知見が根拠となっています。
・ 必要な感染予防策なしで「2m以内を目安に会話をしていた者」としていたものを、必要な感染予防策なしで「手で触れることの出来る距離目安として1m)で、患者と15分以上の接触があった者」と距離が縮まり、さらに具体的な時間の目安が提示されました。

<濃厚接触者の定義>
「患者(確定例)」の感染可能期間に接触した者のうち、次の範囲に該当する者
● 患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者
●適切な感染防護無しに患者(確定例)を診察、看護若しくは介護していた者
●患者(確定例)の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者
●手で触れることの出来る距離(目安として 1 メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と 15 分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)。

※「患者(確定例)感染可能期間」とは
新型コロナウイルス感染症を疑う症状を呈した 2 日前から隔離開始までの間
※「患者(確定例)」とは
臨床症状などから新型コロナウイルス感染症が疑われ、かつ検査により新型コロナウイルス感染症と診断された者

《参考》
・国立感染症研究所積極的疫学調査実施要領(2020年4月20日暫定版)https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9357-2019-ncov-02.html



「濃厚接触者」の就労について

<社員が濃厚接触者と判断された場合>
保健所から 14 日間の健康観察が求められますが、濃厚接触者は必ずしも自宅待機の対象ではありません。
ただし、各職場の状況や考えに基づいて、「社員が濃厚接触者になった場合には、14日間の在宅勤務あるいは自宅待機」としているところが多くなっています。産業医としても社員が濃厚接触者となった場合には、周囲への感染拡大を防止する目的と本人への安全健康配慮として「14日間の在宅勤務あるいは自宅待機」を推奨します。業務の性質上、やむを得ず出勤が必要な場合は、感染予防対応を徹底させたうえで、出勤の可否を検討してください。
このように濃厚接触者は法律上必ずしも出社禁止ではありません。よって、事業者が独自の判断で、濃厚接触者や濃厚接触者以外の者に自宅待機などを指示したり、健康観察期間を延長する場合には、感染症法、労働基準法、労働安全衛生法や就業規則等に基づいた対応を行ってください。

<保健所への協力>
・保健所が実施する積極的疫学調査により、社員が濃厚接触者と判断された場合は、事業所の管轄の保健所の指示に従い感染防止の措置を講じてください。
・会社は濃厚接触者に関する情報(氏名、生年月日、年齢、住所、電話番号等)を保健所に提供してください。
・健康観察期間中は事業所を管轄する保健所と、濃厚接触者となった社員の自宅住所を管轄する保健所が、連携して健康の確認を行います。

<家族(同居)が感染した場合>
基本的には濃厚接触者に当たるため、家族(感染者)の自宅療養解除日から、さらに 14 日間の健康観察期間が求められることがあります。

<家族(同居)が濃厚接触者となった場合>
家族(同居)が濃厚接触者と判断されただけでは、社員本人を自宅待機にする必要はありません。しかし、大事をとって「14日間の在宅勤務あるいは自宅待機」としている事業場もあり、対応が分かれるところです。
ただし、出勤する社員には、マスクの着用や手指衛生の徹底などの家庭内での感染管理が求められます。自分の体調に注意を払い、体調不良を自覚する場合は出社を控えさせてください。

このように「濃厚接触者(体調不良などの症状のない)」やその周辺の取り扱いは、各職場によって対応が分かれるため、産業医や衛生管理者等に指示を仰ぎ、対応を決めていきましょう。

濃厚接触者は、原則在宅勤務や自宅待機を原則とする。
やむを得ず出勤する場合においても、14日間は以下のことに留意してください。

「濃厚接触者」自身
・咳エチケット及び手洗い徹底
・毎日2回(朝/夕)の健康観察
・不要不急の外出はできる限り控える
・やむを得ず移動する場合も、公共交通機関の利用は避ける
・外出時には、マスク着用及び手指衛生などの感染予防策を徹底する。

※健康観察期間中である無症状の濃厚接触者は、新型コロナウイルスの検査対象となりません。

※発熱や呼吸器症状、倦怠感等が現れた場合には、医療機関受診前に、保健所へ連絡してください。

感染が疑われる人や濃厚接触者と同居している場合
・マスク着用及び手指衛生の徹底
・部屋を分け、食事や寝る時も別室とする。
・濃厚接触者はできるだけ部屋から出ない。
・換気をこまめに定期的にする。
・手で触れる共有部分を消毒する。
・お世話はできるだけ限られた人で。
・汚れたリネン、衣服を洗濯しましょう
・ゴミは密閉して捨てましょう
※ご家族、同居されている方も熱を測るなど、健康観察をし、不要不急の外出は避け、特に咳や発熱などの症状があるときには、職場などに行かないでください。


《参照》
・新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領 (国立感染症研究所 感染症疫学センター令和 2 年 4 月 20 日版)
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/2019nCoV-02-200420.pdf
・職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本渡航医学会/日本産業衛生学会)2020/5/11改訂https://www.sanei.or.jp/images/contents/416/COVID-19guide0511koukai.pdf
・「ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合 家庭内でご注意いただきたいこと~8つのポイント〜
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf