Q. 肺炎と診断された社員が出て自宅で休んでいます。新型コロナウィルス性肺炎疑いではないようですが、会社としてはどのように対応したらいいでしょうか?
渡航歴や濃厚接触はありませんが、近所で中国人との接触について可能性は否定できないようです。
A.
(本人への対応)
まずは主治医の指示に従って、療養(入院あるいは自宅療養など)を最優先してください。そして、診断書等を求めて、主治医からの正式な診断名を確認してください。細菌性肺炎などウィルス性肺炎以外の確定診断がおりているようなら、一般的な傷病欠勤等の労務管理をしてください。職場復帰の際は、本人の症状回復だけでなく、周囲へ感染の恐れがなくなったと主治医によって判断されたことを確認した上で、職場復帰を許可してください。場合によっては復職の際も診断書を求めてください。
一方、一般的な臨床検査等から肺炎の原因が特定できず、発熱や呼吸器症状が4日以上続く際は、新型コロナウィルスの検査対象となる可能性があります。検査の必要性等含めて、主治医に確認するよう本人へ助言してください。
(周囲への対応)
「発熱や呼吸器症状がある際は、出社を控える」等の呼びかけにとどめ、当該社員の傷病発生について公表周知する必要はありません。プライバシーへの配慮が優先されます。強く疑われる例、あるいは検査陽性となった際には、医療機関や保健所の指示に従って、速やかに社内へ指示を出してください。
Q. 武漢市からの帰国者の中には、無症状でも検査で陽性がでた人がいたとニュースで見ました。湖北省以外の中国からの帰国・入国した社員に対して、症状がなくても新型コロナウィルスの検査を受けさせて、陰性を確認できますか?
A. 無症状の方は現時点では検査対象になっていません。。ただし、最近の状況を考慮すると、健康状態を観察する目的に、2週間の在宅勤務(自宅待機)とする対応が推奨されます。
今後、検査体制が充実化され検査可能件数が増える見込みですが、新型コロナウィルス感染に係る検査は、インフルエンザ検査キッドように一般化されていないため、通常の医療機関にはありません。国が決めた対象者基準に照らし合わせて、疑われる場合に、医療機関から保健所へ連絡し検査をするか検討します。検査自体は、地方衛生研究所または国立感染症研究所で行います。よって、疑いが強くない方は、検査を受けることができませんし、患者さん又は医療機関の希望による検査は行っていません。
また、湖北省からの帰国者ではない無症状の方まで医療機関に押し寄せてしまいますと、二次感染のリスク(病院へ行くことで他の感染症になる危険)が高まるだけでなく、より重症で必要な人に適切な医療が届かなくなる恐れや、指定感染症医療機関の負担増等が考えられますので、現時点では、濃厚接触者をのぞき、無症状の方の受診は控えましょう。
Q. 最近、中国から帰国した家族と同居する社員についてはどうしたらいいですか?
A. 流行地域(湖北省及び浙江省)からの渡航者、帰国者は行政指導によって感染のリスクが高いハイリスクとされていますが、その他の地域からの帰国者について、ハイリスク対象にはなっていません。そのため、流行地域以外からの中国帰国者と濃厚接触された労働者に対して、一律に2週間の在宅勤務を命じる必要は原則ありません。
ただし、外資系企業によっては、本国からの方針で、中国からの渡航者や帰国者と同居する労働者には、大事をとって2週間の在宅勤務の措置をとるところもありますので、各職場の考えに応じて判断する必要があります。迷われる際は、各産業医までご相談ください。