日本国内での感染拡大が続く「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)」について、職場でとるべき対応について産業医事務所としてお知らせします。過剰に心配することなく、正しく理解し適切な行動を取るためにお役立てください。
(2020.1.27発信、2020.2.18最終更新)

有効な予防策として、現時点ではワクチンはなく、咳エチケットや手洗いなどの一般的な感染対策(飛沫感染対策+接触感染対策)が最も重要です。感染した場合も、特効薬は現時点ではなく、標準的な肺炎治療が施されます。
新型コロナウィルス感染を診断するための検査は一般の医療機関にはありません。診断には指定医療機関での検査が必要です。
万が一、新型コロナウィルス感染を強く疑われる社員が出た場合、直ちに就業を禁止し、保健所および医療機関の指示に従ってください。

中国全土への不要不急な渡航自粛(日本)
WHOの緊急事態宣言を受け、日本は1月31日、中国全土への不要不急の渡航の自粛を求め、中国全土に滞在中の邦人に「一時帰国」を含む安全確保策を勧告。
 ・中国全土:不要不急な渡航自粛(レベル2)
 ・湖北省:渡航中止勧告(レベル3)
 *アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピンでは中国全土への渡航が禁止。

新型コロナウィルス感染症は「指定感染症」になりました。(2020年2月1日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000589747.pdf
まず1年間は、2類感染症と同様の扱いとなり、感染の可能性が高い場合、全国にある第二種感染症指定医療機関にて公費で治療を受けることになります。就業はもちろん禁止。濃厚接触者の把握と追跡(健康観察)も行われます。
全国の第二種感染症指定医療機関
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou15/02-02-01.html

次のいずれかに当てはまる方は、まず最寄り保健所の「帰国者・接触者相談センター」へ連絡し、適切な受診先医療機関について指示を仰いでください。

●風邪の症状や、37.5℃以上の発熱が4日以上続く
or/and
●強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方
曝露歴(渡航歴、接触歴等)の条件は撤廃されました。


※次の方は重症化しやすいため、上記状態が2日程度続く場合には、帰国者・接触者相談センターへご相談ください。
●高齢者
●糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)の基礎疾患がある方や透析を受けている方
●免疫抑制剤や抗癌剤を用いている方

センターで相談の結果、新型コロナウイルス感染の疑いのある場合には、専門の「帰国者・接触者外来」が紹介されます。マスクを着用し、公共交通機関の利用を避けて受診してください。
型コロナウイルス感染症にかかったかもと思った際に、緊急の場合を除いて、医療機関への受診を、連絡無く、直接行うことは控えるようにしてください。

職場で推奨される対応を以下にまとめます。

<職場全体の対応>

  • 手洗い(流水と石鹸で20秒以上)、うがい、咳エチケットの励行
  • マスク着用(特に咳症状がある場合)
    *マスクの効果は、症状がある人からの飛沫予防であり、無症状者の感染予防に対する効果は限定的です。
  • オフィス入り口やオフィス内に手指消毒用にアルコール消毒(70%)の設置
  • 物品消毒用に次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)の活用
  • 発熱や呼吸器症状がある場合、無理して出社しないよう方針表明
  • 中国全土(湖北省以外も)への出張禁止
  • 不要不急な海外および国内出張の自粛
  • 不特定多数があつまあるイベント、大勢の集まる会議の自粛
  • 通勤ラッシュを避けた時差通勤の推奨
  • 可能な範囲で在宅勤務の推奨
  • コアタイムの見直し、短縮、撤廃等
  • ハイリスク者、感染危険性の高い人(湖北省からの帰国、入国など)の2週間在宅勤務
    *ハイリスクではない、感染危険性のない社員まで全員を出社禁止にすることは、現時点では必ずしも必要ありません。

<ケース別対応>
感染者が出た場合
直ちに該当者の就業禁止。保健所および医療機関の指示に従い療養させる。
濃厚接触者を把握するため、一定期間営業停止になることがあるため、その後の対応についても保健所の指示に従う。
復職時期についても同様、保健所および医療機関の指示に従う。

2週間の「在宅勤務」とするべき労働者
*厚労省のQ&A(企業の方向け)では、「14日以内に湖北省への渡航歴がある方で発熱や呼吸器症状がある場合」以外は、出勤を停止する必要はありません。と公表されています。但し、無症状病原体保有者がいること他職員の不安等を考慮すると下記のハイリスク者は在宅勤務を検討すべき対象になります。
・感染が疑われる者と濃厚接触した労働者
・感染が疑われる家族と同居していた労働者
・湖北省から帰国・入国した労働者
・湖北省から帰国、入国した者と同居あるいは濃厚接触のあった労働者

上記ほど優先度は高くないが、健康観察として最大2週間の「在宅勤務」を推奨する労働者
・中国全土から帰国、入国した労働者
・中国全土から帰国、入国した者と同居あるいは濃厚接触のあった労働者

いずれの場合も、在宅勤務中に、発熱や呼吸器症状があれば、「帰国者・接触者相談センター」へ相談してください。

最終的な対応は、各企業毎やケース毎に業種や営業形態、職種等から勘案して決定します。
不明な点はぜひ、各担当産業医あるいは代表の石井までお問い合わせください。

(お役立ちサイト)
政府広報 https://www.cas.go.jp/jp/influenza/novel_coronavirus.html
新型コロナウィルスに関するQ&A(一般の方向け) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
新型コロナウィルスに関するQ&A(企業の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
東京都感染症情報センターhttp://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/2019-ncov/

(新型コロナウィルス感染症の電話相談窓口)
厚生労働省の電話相談
○ 電話番号 03-3595-2285
○ 受付時間 9時00分~21時00分(土日・祝日も実施)